新しい革靴を購入した際、すぐに履きたくなってしまいますよね。
しかし、履き下ろす前のプレメンテナンス作業を行うかどうか次第で、
その革靴の将来を大きく左右してしまいます。
この記事ではオールデンのユナイテッドアローズ別注モデル5432に
最上級のプレメンテナンスを行い、履き下ろすまでの過程を記録しています。
他の革靴にも活かせることができるプレメンテナンスになっていますので、
ぜひ参考にしてください。
この記事を読んで分かる事
プレメンテナンスとは
プレメンテナンスとは、新しい革靴を購入して履き下ろす前に行う作業です。
儀式と言った方がいいかもしれないですね。
新しい革靴は、製造されてから日本への輸送や保管、お店でのディスプレイにより、
長期間しっかりした手入れを行うことが難しいため、ホコリの付着や乾燥が
進んでしまっていることがほとんどです。
よって履き下ろし前にキチンと汚れ落とし、油分の補給が必要となります。
プレメンテナンス次第で革靴への皺の入り方、履き心地が変わってしまうため、
必ず行うべき作業と言えます。
最上級のプレメンテナンスとは
基本的なプレメンテナンス作業は1日で終了します。
しかし、最上級のプレメンテナンスでは3日かけて行います。
今回はオールデンのコードバン素材ということで、購入時の興奮がいつも以上で
あったこともあり、通常の3倍の時間と手間をかけることにしました。
最上級プレメンテナンスの工程
僕自身が行っている最上級プレメンテの工程は次のとおりです。
(1日目)
・馬毛プラシで表面のホコリを取り除く
・アルコールを含んだウェットシートで靴の中を掃除
新品ではありますが、多くの人に試着されてきていますので、靴の中のホコリや
髪の毛を取り除きます。
・サフィールのレノマットリムーバーによる靴表面の汚れ落とし
ワックスまで落とせるということで、汚れ落としには強めとなる同商品ですが、
少量だけ使用しきっちりと汚れを落とします。
・タピール レーダーオイルで追加での汚れ落としと油分の供給
レーダーオイルは、同メーカーのフレーゲと比較すると汚れ落としの要素が
強いですが、同時に油分の補給もできるため、僕はプレメンテナンスの際には
必ず使用するアイテムにしています。
1回でも充分と思われますが、今回は最上級のプレメンテということで
いつもより多めで3回注入してあげました。
1日目の作業はここまでです。
その後は一晩じっくりと寝かせてあげてください。
(2日目)
・表面についたホコリを山羊ブラシで取り除く
1日目のレーダーオイル注入により、表面はウェットな状態になります。
さらに一晩寝かせるとホコリが付いているため、ここは山羊ブラシで優しく
ホコリを取り除きます。
馬毛ブラシでも特段問題ありませんが、傷がつきやすいので僕は
この作業の時は山羊ブラシで対応しています。
・2回目のタピール レーダーオイルでさらにもっちり革にする
1日寝かせたオールデンに再度レーダーオイルを供給します。
1日目の注入で革が既に柔らかくなっていますが、さらなるモッチリ革に
してあげるべく、2日目も同じようにレーダーオイルを注入してあげます。
こうすることで、後のシワ入れの際にもより自然なシワが入りやすくなります。
2日目の作業自体はこれで終了です。
もう一晩寝かせてコードバンにレーダーオイルが浸透してくれるのを待ちます
(3日目) コロニルシュプリーム1909とモブレイ デリケートクリームでの仕上げ
さあ、いよいよ最上級プレメンテナンスの最終日です。
2日に渡ってレーダーオイルを含んだコードバンは、購入時に比べて
驚くほどに柔らかくなっています。
写真では少し分かりにくいかかもしれませんが、指で押してあげると
その弾力に驚くことでしょう。
最終日に行うことは、主に次の2つの作業です。
・靴の内側にデリケートクリームを注入。
プレメンテナンスを行う際、革靴の外側(アッパー)部分は当たり前ですが、
実は内側(ライニング)部分までメンテナンスする人はまだ少ないようです!
僕自身、まだ革靴に興味を持ち始めた頃はライニングのメンテナンスを
行っていませんでしたが、やってみると全く異なる履き心地を感じました。
ライニング部分にはモブレイのデリケートクリームを使用します。
この後使用するコロニルでも問題はありませんが、デリケートクリームの方が
速乾性があり、かつシミになりにくいというメリットがあるため、ライニング部分
にはこちらのクリームを使用しています。塗り方は難しくありません。
指先に適量を取り、革にグイグイ塗り込んであげます。
力の入れ方は強めで問題ありません。
爪先部分やタンの裏側には特に重点的に塗り込んであげてください。
この作業により、内側も柔らかくなった革靴は履き下ろした際に一層自然な
シワが入りやすくなります。
最後はコロニルシュプリーム1909の出番です。
サフィールの乳化性クリームよりも水分量が多く、豚毛ブラシで磨いた後は
それだけで自然な光沢を出せるため、履き下ろし前の革靴には必ずこのクリームで
仕上げます。
革靴だけでなく、革製品であれば財布やカバンなどにも使用できるので、
1個持っておくと非常に便利なアイテムです。こちらもやり方は簡単です。
適量をアッパー部分に塗り込んであげます。
塗り込んであげたら5分ほどおき、豚毛よりも毛先の弾力が柔らかい馬毛ブラシで
ブラッシングしてあげます。
最後に入り切らなかったクリームを拭き取り、全てのプレメンテナンスは
終了となります。
この後にワックスによる鏡面磨きをされる方もいますが、僕のポリシーとして
新品の革靴を履き下ろす際は、鏡面磨きは行いません。
これは好みの問題ですので、人それぞれです。
オールデン5432のプレメンテナンス後の履き下ろしについて
今回購入したオールデン5432ですが、実は展示品ということもあり、
左足(写真右側)は長時間ディスプレイ展示されており、かつ複数回試着されて
いたこともあり、色味とシワの入りが右足と若干異なります。
よって今回は、コードバンの吐き下ろしで有名なシワ入れの儀式は
行いませんでした。
ただ最上級プレメンテのおかげで履き下ろし初日から靴ズレ等はもちろんなく、
すぐ足に馴染んでくれたので、個人的には大満足のプレメンテナンスでした。
最後に
通常のプレメンテナンスの倍以上の時間と労力をかけたこともあり、
革が本当に柔らかく、自分の歩行動作に足にすぐ馴染んでくれました。
特に歩行時に屈曲する甲部分においても、負担を感じることなく履くことが
できました。
履き下ろす前にどれだけ手間を惜しまずに革靴に愛情を注げるか、
この気持ちを強く感じたプレメンテナンスでした!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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